肝動脈化学塞栓療法

cTACEの基礎と原理の解説

  • HCCが発生
  • HCCにおける供給血管

  • リピオドールエマルションのカテーテルから投与する
  • HCCの毛細血管内にリピオドールエマルションが分布、満たされ、門脈域にも到達する
  • リピオドールエマルションが
    HCCに分布
  • リピオドールエマルションの投与が完了したら、ゼラチンスポンジを注入する
  • ゼラチンスポンジを後詰めすることによりリピオドールエマルションの流出を抑える
  • HCCが壊死に陥る
リピオドール :
油性の造影剤。ヨードが含まれており、エックス線で視認できる。
リピオドールエマルション :
リピオドール(油性)と抗がん剤溶液(水性)が混ざることにより、乳濁液(エマルション)となる。抗がん剤とともに腫瘍内の血管内にとどまる。
乳濁液(エマルション):
マヨネーズや化粧水、木工用接着剤がある。

リピオドール使用量、エマルション、注入方法、
ゼラチンスポンジ

リピオドール使用量
1回のTACEで使用するリピオドール量の目安は治療対象とする腫瘍直径の総和(cm)≒ 総リピオドール量(mL)とする。最大使用量は10mLとしている施設が多い。大量に使用すると全身塞栓のリスクがあり、塞栓後症候群の軽減のためにも最大量は10mLとする。
エマルションの作製
抗がん剤(エピルビシン)を非イオン性ヨード造影剤に溶解した溶液とリピオドールの比が1:2以上になるように混合し、ポンピング混和する(詳細ページ)。
エマルション注入方法
リピオドール・抗がん剤エマルションは、1~2.5mLシリンジを用いてゆっくりと注入する。血流が遅くなってリピオドールが血管内に鋳型状に停滞し始めたら注入を中止する。リピオドールが末梢に流れて血管から消失するようであれば注入を再開する。リピオドール抗がん剤エマルション注入のエンドポイントは、腫瘍の周囲に明瞭な門脈枝が描出された時点とする(次項参照)。
ゼラチンスポンジ注入方法

ゼラチンスポンジは造影剤よりも軽いため、1~2.5mLのシリンジの先端を少し上に傾けながら注入する。血流が停滞し始めたらプランジャーを親指の腹で小刻みに揺らすようにしながらゆっくりと注入する。Super/Ultraselective cTACEでのゼラチンスポンジ注入のエンドポイントは栄養血管の閉塞であり、血流が停滞した時点でマイクロカテーテル内にあるものを生理食塩液で押し出していくと目的血管の閉塞が得られ、HCCの壊死が期待できる。

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肝動脈化学塞栓療法(TACE)理論と実践ストラテジー 一部改訂

門脈の描出の程度と局所効果

門脈描出の程度を、Grade 0:ほとんどなし、Grade 1:腫瘍周囲に描出、Grade 2:塞栓域ほぼ全体あるいは塞栓域を越えた描出 の3段階に分類し、Grade 2となった場合は良好な局所効果が得られている。

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J Vasc Interv Radiol 2007:18:365–376 一部改訂

マイクロカテーテル

先端外径により、1.5~1.8-F*のもの(セレクティブタイプ)はより末梢の細動脈を選択する場合に、1.9~2.4-Fのもの(汎用タイプ)は一般的な超選択的TACEに、2.6~2.8-F(ハイフロータイプ)はより良好な造影を得るために選択される。ブレード*技術の進歩により、セレクティブタイプのものでも1mL/秒以上の造影剤の注入が可能となっている。またハイフロータイプのマイクロカテーテル内を通過するノンテーパー型マイクロカテーテルも市販されている。長さは105~110cm、130~135cm、150cmの3種類あり、先端形状もストレートとアングル型の2種類ものがあります。適応ガイドワイヤーは0.014~0.021インチと製品により異なります。

使用例:
福井県済生会病院:主に先端アングル型の1.5-Fマイクロカテーテルを使用
奈良県立医科大学:主に先端ストレート型の1.7-Fマイクロカテーテルを使用
北海道大学:主に先端アングル型の1.7F-マイクロカテーテルを使用

*用語解説
F(フレンチ):カテーテルのサイズ(直径)を示す単位で、1Fは、0.333mmに相当する
ブレード:カテーテルの周囲を取り囲むような構造を有し、屈曲部でもカテーテルの内腔を保持することができる