診断方法
診断方法(診断アルゴリズム、診断方法)
- 肝細胞癌サーベイランス:対象者
- B型慢性肝疾患患者、C型慢肝疾患患者、および非ウィルス性の肝硬変患者
- 定期的なスクリーニング(3~6か月間隔の腹部超音波検査を主体とし、腫瘍マーカー測定も用いたスクリーニングを軸とする)
- 肝硬変患者などの超高危険群では、肝動脈の血流を詳しく評価するために※ダイナミック(dynamic) CTまたはdynamic MRIの併用も考慮する。
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サーベイランス・診断アルゴリズム
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超高危険群 |
:3〜4ヶ月毎の超音波検査
:3〜4ヶ月毎の腫瘍マーカー測定
:6〜12ヶ月毎のdynamic CT/MRI(option)
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高危険群 |
:6ヶ月毎の超音波検査
:6ヶ月毎の腫瘍マーカー測定
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肝癌診療ガイドライン 2017年版
拡大
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超音波検査
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Dynamic CT/Dynamic MRI
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血液検査(腫瘍マーカー検査)
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- AFP(アルファ・フェトプロテイン):癌化した細胞では大量に作られる(健康な方の血液にはほとんど存在していない)
- AFP-L3分画:慢性肝炎や肝硬変との区別がつきにくいというAFPの欠点を改善した。慢性肝炎や肝硬変では主にAFPのL1分画が、肝細胞がんではL3分画が増加する
- PIVLKA-Ⅱ:異常な血液凝固因子で、健康な方の血液中には存在せず、ビタミンKの欠乏時や、肝障害、肝細胞がんなどのときに血液中に出現する
- AFP(アルファ・フェトプロテイン):癌化した細胞では大量に作られる(健康な方の血液にはほとんど存在していない)
- AFP-L3分画:慢性肝炎や肝硬変との区別がつきにくいというAFPの欠点を改善した。慢性肝炎や肝硬変では主にAFPのL1分画が、肝細胞がんではL3分画が増加する
- PIVLKA-Ⅱ:異常な血液凝固因子で、健康な方の血液中には存在せず、ビタミンKの欠乏時や、肝障害、肝細胞がんなどのときに血液中に出現する
病期(ステージ)
- 肝細胞がんの病期分類(日本肝癌研究会)
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T1 |
T2 |
T3 |
T4 |
①腫瘍が1つに限られる
②腫瘍の大きさが2cm以下
③脈管(門脈、静脈、胆管)に広がっていない
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①②③ すべて合致
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2項目合致
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1項目合致
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すべて 合致 せず
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リンパ節・ 遠隔臓器に 転移がない
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Ⅰ期 |
Ⅱ期 |
Ⅲ期 |
ⅣA期 |
リンパ節転移はあるが、 遠隔転移はない
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ⅣA期
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遠隔転移がある
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ⅣB期
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- 肝細胞がんの病期分類(UICC第8版)
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N0
領域 リンパ節*2
転移が ない
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N1
領域 リンパ節
転移が ある
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M1
遠隔 転移が
ある
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T1a
血管侵襲*1の 有無に 関係なく、 最大径が 2cm 以下の腫瘍が1つ
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ⅠA
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ⅣA
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ⅣB
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T1b
血管侵襲を 伴わず、 最大径が 2cmを超える
腫瘍が1つ
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ⅠB
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T2
血管侵襲を伴い
最大径が2cmを 超える 腫瘍が1つ または 最大径5cm 以下の 腫瘍が 2つ以上
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Ⅱ
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ⅢA
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T4
門脈もしくは 肝静脈の
大分枝に 浸潤する腫瘍、
または胆のう以外の 隣接臓器 (横隔膜を含む)
に直接浸潤する腫瘍、
または臓側腹膜を
貫通する腫瘍
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ⅢB
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- *1:血管内にがんが入り込むこと。
- *2:肝細胞がんの領域リンパ節は、肝門部リンパ節、固有肝動脈二層肝臓リンパ節、門脈に沿う門脈周囲リンパ節、下横隔リンパ節、および大静脈リンパ節です。
肝障害度
それぞれの項目別にA, B, Cのどの段階に当てはまるかを確認します。
- Cに当てはまる項目が2つ以上ある場合は肝障害度Cになります。
- Cに当てはまる項目が1つ以下で、Bに当てはまる項目が2つ以上ある場合は肝障害度Bになります。
- それ以外の場合は肝障害度Aになります。
肝障害度 項目 |
A |
B |
C |
腹水 |
ない |
治療効果 あり |
治療効果 少ない |
血清ビリルビン値 (mg/dL) |
2.0未満 |
2.0〜3.0 |
3.0超 |
血清アルブミン値 (g/dL) |
3.5超 |
3.0〜3.5 |
3.0未満 |
ICGR15(%) |
15未満 |
15〜40 |
40超 |
プロトロンピン活性値 (%) |
80超 |
50〜80 |
50未満 |
原発性肝癌取扱い規約第6版(2015年)
Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類
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1点 |
2点 |
3点 |
脳症 |
ない |
軽度(Ⅰ, Ⅱ) |
時々昏睡 (Ⅲ〜) |
腹水 |
ない |
少量 (1〜3L) |
中等量 (3L〜) |
血清ビリルビン値 (mg/dL) |
2.0未満 |
2.0〜3.0 |
3.0超 |
血清アルブミン値 (g/dL) |
3.5超 |
2.8〜3.5 |
2.8未満 |
プロトロンピン活性値 (%) |
70超 |
40〜70 |
40未満 |
各ポイントを合計して、その合計点で判定する。
GradeA(軽度) |
:代償性 |
GradeB(中等度) |
:代償性から非代償性への過渡期 |
GradeC(高度) |
:非代償性 |
- ・グレードA:
- 軽度の肝硬変で肝臓の機能がなんとか保たれている状態です。(代償性肝硬変と言います。)
- ・グレードB:
- 中程度の肝硬変で、軽度な合併症(症状)がみられます。
- ・グレードC:
- 重度の肝硬変で肝臓の機能が維持できなくなり、様々な合併症(症状)があらわれます。(非代償性肝硬変といいます。)
原発性肝癌取扱い規約第6版(2015年)