肝細胞癌について

肝細胞癌について

肝細胞癌
(HCC:Hepatocellular Carcinoma)とは

  • 正常の肝臓細胞は、門脈(75%)と肝動脈(25%)の2つの血管から栄養されている。
  • 肝細胞癌は主としてB型(15%程度)あるいはC型肝炎ウィルス(75~80%)に伴う慢性肝炎、肝硬変などの持続性壊死・炎症および線維化をベースに発癌をきたす肝細胞由来の悪性腫瘍である。
  • その他、非B・非C型肝癌の中には各種非ウィルス性の肝硬変(原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、アルコール性肝硬変、Budd-Chiari症候群など)が含まれる。
  • 最近では非アルコール性肝炎non-alcoholic steatohepatitis (NASH) の肝硬変進展例からの発癌が注目され、糖尿病、肥満、高脂血症を合併するNASH、burned out NASH(進行とともに脂肪変性や炎症所見などのNASHの特徴が消失する)がみられる。
  • 肝細胞癌は多段階発癌という過程を経て発生すると考えられており、肝に発生した結節性病変が、再生結節、軽度異形結節、高度異形結節、早期肝細胞癌高分化型肝細胞癌、古典的肝細胞癌(中分化型)へ変化する。この過程で、結節内の血行動態は変化し、再生結節では、正常肝と同様の血流支配であるが、悪性度が増すに従い肝動脈血流の割合が増加し、門脈血流が減少する。古典的肝細胞癌では、被膜外浸潤部や高分化成分を除き、動脈支配となる。

【監修】 宮山士朗先生(福井県済生会病院) 田中利洋先生(奈良県立医科大学) 阿保大介先生(北海道大学)