『SCMR 2019 in Seattle』
浜松医科大学 循環器科 諏訪賢一郎先生

今年のSCMRはワシントン州のシアトル郊外にありますBellevue(ベルビュー)という街で開催されました。シアトルといえばイチロー選手の所属するマリナーズや、郊外にあるボーイング社の飛行機工場などで有名です。またベルビューにはMicrosoft本社があったりと有名企業も存在し、こじんまりとしていますが活気溢れる街であります。今回のSCMR2019の会場はハイアットリージェンシーベルビューで開かれましたが、この中心部であるベルビュースクエアの隣り合わせの好立地で、学会から夜の交流の時間まで大変盛り上がっていました。気候はというと、ガイドブックでは緯度の割に比較的温暖と記されていたのですが、記録的な寒波が到来し雪模様の期間となりました。
さて今回のSCMRですが、水曜日から木曜日の午前までにプレカンファレンスとしてワークショップ他が開催され、木曜日午後から土曜日まで本会のスケジュールが組まれました。今回のプログラム内容を見ると、例年にも増してmachine learningに関する演題が多かった様に感じます。人工知能を有効利用しようという流れは医療に限らず様々な分野で見られておりますが、心臓MRIの領域でも同様で、撮影から解析、診断へと様々な段階でmachine learningが導入されていくことが期待されます。
さて私は、以前より行なっている4D flow MRIを用いた臨床研究の一部を発表致しました。閉塞性肥大型心筋症の臨床に4D flow MRIを利用した症例を提示し、4D flow MRIの実臨床での有用性をご紹介させていただきました。4D flow MRIの他演題については、以前より研究が進んでいる二尖大動脈弁についての発表等に加え、私の元上司であるNorthwestern大学のMarkl先生からは左房内血流と心房細動との研究報告もなされ、応用される領域が広がりつつあることを実感しました。
興味深いトピックスとして、Diffusion tensor imagingを用いた研究が口語・ポスターに限らず散見されました。その中でも今回興味深い発表の一つとして、アミロイドーシスと肥大型心筋症の鑑別において有用であるという発表がなされました。心筋症の診療は、まず診断に苦慮することが多く依然臨床医の課題が多く残された分野と考えています。ここ最近の話題でもあるT1/T2 mappingの有用性に加えて、今後心筋症の診断に臨床利用されることを期待したいと思いました。
SCMRという学会は、基礎技術に関する演題と臨床に関する演題がバランスよく並んでおり、この学会の魅力の一つと思います。Clinicalもphysicsもお互い学ぶことができる場であります。臨床に関しては、今回caseを多く取り入れられているなと感じました。実臨床の中に最新の心臓MRIの技術を取り入れて診断・考察されている演題を見ると、臨床研究を行う身としては勇気づけられます。また、若手の医師には発表にチャレンジしやすいかもしれません。
海外学会のオフタイムの楽しみといえば、やはり観光でしょう。今回シアトルを訪れるのは初めてでしたので、生憎の大雪に行く手を阻まれましたが、シアトルの港町を観光し、食事を楽しむことができました。スターバックスの一号店を見たり、オフシーズンではありましたがシアトルマリナーズの本拠地であるスタジアムを見たりすることが出来ました。また、日本から参加されている他施設の先生方との交流や、かつての留学先の仲間との再会と近況報告も楽しい時間でした。
来年はフロリダ州オーランドでの開催を予定されているとのことでした。まだ訪れたことのない街になります。次回も是非参加したいと、今から思っております。

ロゴが映し出されたSCMR2019会場

静岡こども病院の先生とシアトル市内での夕食(筆者中央)

『SCMR 2019』
川口市立医療センター 國本聡先生

米国シアトル近郊のベルビューで開催された第22回SCMR(Society of Cardiovascular Magnetic Resonance)に参加してきました。会期は2019年2月6日から9日でしたが、大雪警報(Winter Storm Warning)が期間中発令されるという現地としては珍しく雪の舞う中での開催となりました。
今回のSCMRは“Global CMR: Innovation and Clinical Outcomes”がテーマであり、BasicからClinicalまで多くの演題発表があり、主に4会場で同時進行するため全ての演題を網羅できない状況は、初めて参加した2008年第11回SCMRでは1つの会場で行われていたことを考えると隔絶の感がありました。さらに会期を通して小児科領域のセッションが設けられており、日本に比較してCMRを用いた小児循環器診療が行われている海外の状況を伺い知ることが出来ました。
Opening Plenary Session前の半日ではPhysician Pre-conference Courseとしてレクチャーがあり、会場をほぼ埋め尽くす多くの参加者が聴講しており、撮像基礎理論から臨床各論まで心臓MRI(CMR)の今を俯瞰するには最適の機会でした。
Clinical trialのセッションでは、安定狭心症と中等度から高度冠動脈疾患リスクの症例の方針決定において用いる指標としてMR perfusion imagingとFFRを比較したMR-INFROM、AMI急性期にalteplase投与の有効性をCMRでのmicrovascular obstruction(MVO)について検討したT-TIME、2750例のHCM症例をprospectiveに検討したHCMR、左室EF 36~50%の症例へのICD植込みの適応においてCMRによる線維化等の所見を用いる有効性を検討したCMR-GUIDEなどがInvited Lectureとして報告されました。
T1 mapping、T2 mappingなどのParametric Mappingは依然として注目されていますが、多くの施設で多くの疾患に対して施行した報告が出る中、機種や磁場強度による値の差異が問題となっており、標準化が課題となっている現状を見ることが出来ました。
また、注目されている領域として前回2018年から設定されたCardio-Oncology imagingのセッションには多くの参加があり、抗がん剤治療後の心筋障害が問題となる中CMRによる壁運動低下の早期検出に加えてParametric Mappingの可能性が報告されており、非造影でのスクリーニングの有用性の検討が必要であるとの印象を持ちました。
そしてClosing Plenaryでは「The SCMR Chase」という若手医師とベテラン医師が制限時間中に読影する症例数を競い合うイベントが用意されており、会場全体が大盛り上がりの中で学会が終了しました。
最期に、SCMRは心臓MRIについて勉強する機会であることはもちろんですが、会期中に日本からの参加者が集まるJapanese Seminar in SCMRが開催され、日本の学会の発表会場でお目にかかることはあるもののゆっくりと話す機会が少ないCMRに携わる方々との親睦を深める良い機会となっています。
以上SCMR2019の様子をご報告させていただきました。今回のSCMRで話題となっている分野のみで無く、CMRを日本でも活用していくことへのモチベーションを高める良い機会となりました。

<Japanese Seminar in SCMR2019にて>