『JFR 2019に参加して』
大阪大学 放射線科 高橋洋人先生

JFR – Journées Françaises de Radiologieはパリ市内、凱旋門から徒歩約15分の距離にある会場のPalais des Congrèsにて毎年10月上旬に開催される放射線医学全般に関する学会であり、日本のJRC(日本放射線学会総会)に該当するフランス国内最大規模の学会である。今年は2019年10月11日から14日まで開催され、これに参加した。Palais des Congrèsはレストランやショッピング施設も入る巨大複合施設である。アクセスはよく会場近くまで地下鉄が乗り入れており、また凱旋門やシャンゼリゼ通りへも徒歩圏内であるため観光にも便利な場所である。学会はそのうちの3フロアを使用し、科学報告(講演、口語発表)、また電子ポスターによる教育展示や科学報告が行われ、また各フロアを用いて企業展示、機器展示が行われていた。また会場はlevel 1以上の階(日本の2F以上)で行われており、そこへ上がるエスカレーターでバッジのバーコードチェックが入場者全員へ行われており、セキュリティへの配慮が感じられた。
主にフランス語にて報告、講演はなされており、その内容の理解にはフランス語への高い理解力が要求される。スライドのフィギュアなどがある程度助けにはなるが、正直自分を含め非フランス語圏からの参加はやや敷居が高く感じられた。ただし、JRC同様に国際化にも力がいれられており一部招待講演などは英語でも行われ、JRSやRSNAをはじめ他国の放射線学会との連携もなされている。ポスター展示においては日本からの演題発表もいくつか見られ、また日本人演者による講演も行われている。科学報告のセッションは毎日朝8:00代から夕方17:00代、あるいは18:00代までかなり密に組まれており、頭部、骨軟部、胸腹部の領域ごと、またIRやエコーなどのデバイスに焦点をあてたセッションなど放射線医学領域を網羅するかなり多彩な内容であった。内容がフランス語主体であり、すべてを拝聴はできていないが、学会programを参照すると臨床診断に関する実践的な内容や、モダリティに関する基礎的な内容など多彩であり、またセッションごとの組み方がより特定の目的にフォーカスした視点からのものが多く思われた。またやはりAI(人工知能)に関するセッションも多く組まれ、内容はビッグデータの取り扱いやマシンラーニングなど基礎的な内容の講演、画像診断への応用など最新のトピックなものも多くその関心の高さがうかがわれた。1セッションが1時間前後、1演題あたり15分ほどであった。全体的にレベルは高く、私が参加した各講演会場は満席に近いことが多く、参加者の講演に対する関心の高さがうかがえた。私は専門が脳神経領域であるため主にその領域の講演、発表をいくつか拝聴している。パーキンソン病のイメージングに関して神経メラニン画像の有用性や、パーキンソニズム症候群の画像による評価のポイント、またそれに関連する解剖学的な解説、病態メカニズムなど、このセッションは英語での講演もあり、スライド内容などと併せ非常に理解しやすい内容となっていた。また全体的に脳神経領域の講演会場は満席であったり、会場入り口周辺での立ち見も見られ、フランスでの脳神経領域イメージングへの関心の高さを感じた。
同期間中は併せてパリ市内を散策したが、治安は特に問題なく凱旋門やシャンゼリゼ通りを歩くことができた。またセーヌ川沿いやモンマルトル周辺も観光客が多く、普段のパリを取り戻していると感じられた。JFR会期中の10月上旬のパリは涼しく、好天に恵まれることが多いと思う。またサマータイム中でもあり夕刻6:00過ぎでも明るい。街角ごとにあるカフェでは大勢の地元の人、また観光客が遅くまで過ごしており街全体はリラックスした雰囲気を感じることができた。秋のパリもおすすめである。

『JFR2019と日仏交換留学に参加して ~フランスへの誘い~』
順天堂大学放射線診断学講座 佐藤香菜子先生

私は昨年ゲルべジャパンの支援による日仏交換留学にてフランスに留学し、その間の研究内容を今年10月11日から14日にパリで開かれたJournées Francophones de Radiologie (JFR)にて発表した。JFRは毎年10月に凱旋門を少しこえたところにあるPalais des Congrès de Parisで開催され、日本での総会や秋季大会のような位置づけかと思う。会場は1つの建物内にありややこじんまりしているが、ショッピングモールやハイアットホテルと隣接しており便利である。学会初日には授賞式を兼ねたピアノコンサートがあり、お知らせのチラシを会場で竹馬に乗った女性が配っていて、フランスらしく遊び心がある光景だった。講演はほとんどフランス人によるフランス語での発表だが、時にカナダ、アルジェリア、韓国などからの発表や英語の発表もあった。フランスでは研究よりも一般臨床が重視されている傾向があり、大部分が教育講演だった。エコーやIVR、骨軟部については日本より盛んであるため講演が多く、特にエコーはワークショップが多かった。最先端の撮像法に関する発表は日本より少なかったが、最適なMRIの撮像法やAIについてはいくつか講演がみられた。ポスターはeducational部門とscientific部門があり、いずれも電子ポスターでプレゼンなどはない。ポスターも基本的にはフランス語だが英語でも可能であり、私は皮質形成異常の新たな1型について自分の研究結果を含めたeducational posterを英語で投稿した。留学先の先生方の助けもありポスター賞をとることができ、よいおみやげになった。
13日の夜にはエッフェル塔が窓から見えるMusée de l’Hommeでカクテルパーティーがあり、パリの放射線科医達の社交場となっていた。その他、学会中にたまたまモンマルトルで秋のワイン収穫祭がやっており、新鮮なチーズやワインを販売している屋台で食べ歩きをしたり、ワイン畑や昔ながらのシャンソンバーを見学したりできた。フランスでは季節ごとにいろいろなフェスティバルがやっており、参加できると楽しい。
昨年の私のフランス留学は、2017年度から日本医学放射線学会とフランス放射線学会の間で開始された交換留学プログラムによるもので、これまでに日本から8名、フランスから9名の留学者がいる。研修病院や期間は応募者の希望と両学会の調整により決定され、私はパリのSainte-Anne病院に約半年間留学した。私の参加した第1期はSainte-Anne病院へ2名、Bordeaux大学病院へ1名、Institute Gustave Roussyへ1名が留学した。第1期はすべてが手探りの状態で体制も整っておらず、私はビザ取得の遅れにより出発が2018年3月からとなった。しかし、2018年は日仏交流160周年記念の年で、フランスではさまざまなジャポニズムイベントが行われており、かえってふさわしい時期に留学できたと思う。私のいる順天堂大学にはフランスからの放射線科レジデント計4名が留学に来たため、研修のサポートや日仏の情報交換をしたり、お互いの語学や文化を教え合ったりして、友人となることができた。彼女らも今回のJFRでは順天堂大学で行った研究の発表をしており、病院レベルと個人レベルの双方で日仏交流ができていると思う。今後もこのプロジェクトは続く予定であり、興味がある方には参加をお勧めしたい。


夜のカクテルパーティーはパリの放射線科医達の社交場


フランス人交換留学生と


学会場でのピアノコンサート


チラシを竹馬で配る女性