『ISMRM2020 on the WEB: ようやくWEB学会の歩き方がわかってきた
名古屋大学大学院 医学系研究科 革新的生体可視化技術開発産学協同研究講座 
田岡俊昭先生

2020年のISMRMは本来4月にシドニーで行われる予定でした。COVID-19の感染流行により8月へと延期となり、それに伴い、開催予定地もパリに変更になりましたが、感染は収束せず、WEBでの開催へと変更されました。本来なら2度目のシドニー開催のISMRMとなることから、私は1998年のISMRMのバッグ(写真)まで準備して楽しみにしていたのですが、その点では残念な結果となりました。一方、2020年2月以降半年近く、ISMRMのみでなく、日本医学放射線学会をはじめほぼ全ての学会がWEB開催となり、慣れると共にWEB学会の歩き方もわかってきました。前に座っている人の頭や、後ろの人の私語に悩まされない事もさることながら、WEB学会の最大の長所は、自分の都合の良い時間にプレゼンを閲覧することが出来ること、そして、プレゼンを繰り返し閲覧できることかと思います。何ならプレゼンのエッセンスを効率的に飛ばし見する事もできます。リアルの学会では、自分の興味のある演題もそうでない演題も10分なら10分で変わりませんが、WEB学会では演題にかける時間を自分の興味に合わせて可変出来る点はありがたいです。加えて、ISMRMでは抄録が論文並みに充実していることから、抄録とプレゼンを行ったり来たりしながら勉強が出来る点も、リアルの学会では出来ない長所です。また、ISMRMのサイトは(操作性に少し難があるものの)検索機能も充実しているので、通常は自分が訪れないようなセッションに分類された演題もカバーすることが出来ます。リアルの学会では抄録集で面白い演題を見つけたときにはそのセッションが終わっていたということも結構ありましたね。
今回のISMRMでは、あらかじめ録画されたプレゼンテーションは学会のウェブサイトで閲覧し、ライブのッションはZoomのウェビナーで行われました。月曜日のプレナリーセッションもZoomで行われましたが、京都大学の富樫教授がGold Medalを授与され、名古屋大学の長縄教授がFellowに選出されました。このような晴れがましい場で、皆で思いきり拍手できない点がWEB開催の寂しいところですね。口演発表後の質疑応答は、複数の関連したセッションをまとめる形で、やはりZoomのウェビナーで行われました。私はGlymphatic systemに関しての教育講演(Weekday Course/Tuesday Parallel 2)とパワーピッチ(#537)の二つでこのQ&Aセッションに登壇しましたが、時差の関係で夜中の1時迄の議論となり、かなりつらかったです。時差については国際学会をWEB上で行う際の問題の一つとなりそうです。
パワーピッチセッションはユニークな演題を集めたセッションであり、本来のISMRMではプレゼン時間を3分と短くする一方で、face to faceのディスカッションの時間をしっかり確保したセッションです。今年はWEB開催となった結果、プレゼン時間は一般の口演と同じ9分となり、より充実したプレゼンを視聴することが出来た一方、WEB上での質疑は時間が限られてしまいました。「Novel Neuroimaging Techniques」のセッションでは、半数以上の演題がGlymphatic systemやNeurofluidに関する演題であり、この領域が引き続き興味を持たれていることがわかります。このセッションでは拡散強調像で脳脊髄液の動態を評価しようとする演題が2つありました(#534, #537)。この手法はLe Bihan先生の拡散強調像の最初の論文で提唱されていたものの、そのあと長らく行われていませんでしたが、2019年のJJRでの報告(Jpn J Radiol. 2019;37:135-144)以降、興味を持たれているようです。
WEB学会になっても、ISMRMのセッション名は凝っているというかクセが強いというか、こればかりは昔からの伝統ですね。以前ISMRMのAMPCをしていたときにも、一緒に仕事をしていた委員達がなにやらひねったセッション名を相談しているのを「そんなところで努力しなくてもいいのに・・」と思って眺めていたのを覚えています。今回のISMRM on the WEBでの変わったセッション名の一つとして、「Treasure Chest of Neurogems」がありました。「ニューロの宝石箱やぁー」といったところでしょうか。このセッションでは北海道大学から17O標識水の演題(#2042)がありました。17O標識水は脳脊髄液や間質液のトレーサーとしては理想的であり、AQP4ノックアウトマウスでは血管周囲腔に水がたまる傾向が示されていました。

今回、シドニーに持って行くつもりだった1998年シドニー開催時のISMRMバッグ

『ISMRM2020 腹部領域のトピックス』
山口大学大学院 医学系研究科 放射線医学講座 伊東克能先生

新型コロナウィルスによるパンデミックのためweb開催となった今年のISMRMから、腹部領域の話題についてご紹介したいと思います。肝胆膵領域のscientific sessionはpower pitch sessionも含めて3つ、演題数は34です。撮像技術に関連するsessionでは、deep learning, MR elastography, T1, T2* マッピングに関する発表がありましたが、このうち、The thirsty liver: dynamic T1 mapping after fluid intake in healthy volunteers (0311)では、飲水後の肝T1値の変化を経時的に評価し、40分をピークにT1値が上昇カーブを描くことを示しています。1リットルの飲水が必要で、T1値の変化も40ms程度ですが、この結果からは肝臓における代謝や血流のわずかな変化でもT1値を含めた定量値に影響を与えるということを考慮する必要があると言えます。
肝臓領域では、びまん性疾患(脂肪肝と線維化)と代謝に関するsessionが組まれており、Mapping glycogen concentration in vivo based on the nuclear Overhauser enhancement (NOE) with water (glycoNOE) (0316)では、11.7T MR装置を用いた動物実験で、glycoNOE信号が肝臓内のグリコーゲン量と有意に相関しており、定量化の指標となりうることから、肝代謝性疾患の評価に有用となる可能性を示しています。日本においても今後、肝疾患の主体がウィルス性肝炎から脂肪性疾患へと変化していく中で、代謝性疾患における画像診断の役割も増していくことが考えられ、MRSを含めた機能代謝診断の高精度化が必要と考えられます。
Digital poster sessionは、Abdominopelvic MRI (cancer, benign)の2 sessionがあり、演題数はそれぞれ91, 172です。このうち門脈系の診断に関連したものが比較的多く7題あり、これは4D flow MRIやその他の新技術が門脈領域にも適用されるようになったことが要因の1つと思われます。Evaluation of portal system flow in response to a meal challenge with 4D-flow MRI (2632), Flow quantification with navigator-gated 4D flow MRI in portal hypertension (2621)では、食後における門脈・上腸間膜静脈血流増加と脾静脈血流低下のカラーマッピングと肝硬変患者における門脈血流速度の低下が示されています。また門脈圧亢進症の評価として、脾臓のT1ρ値上昇が指標となること (0320)、肝臓のT1値と正の相関があること (0323)、MR elastographyによる脾臓の硬度と相関すること (0329)、Gd-BOPTA造影MRIにおける肝実質の造影効果と負の相関があること (2483)、などが示されています。
それから、cancer-hepatocellular carcinoma (15演題)が1つのsessionとして組まれていたことは驚きでしたが、これはアジアからの発表とくに中国からのものが増加していることによるもので、多くは定量値やradiomicsとの組み合わせにより診断能を向上させる内容ですが、今後はさらにこの傾向が強くなることが予想されます。
Cancer – Liquid biopsyにみられるように、癌も遺伝子情報を加味した細胞レベルでの早期診断が臨床応用される時代に、癌の早期診断に画像診断が果たす役割は何か、Benign – 臓器の機能・状態を正確に評価し、予防医学、アンチエイジングなどに画像診断をどのように役立てていくのか、今後はこのような研究も進んでいくことを期待しています。

画像は、ISMRM 2019 モントリオールより

『心血管トピック~初のweb開催~』
東北大学大学院 医学系研究科 先進MRI共同研究講座 大田英揮先生

多くの学会と同様に,ISMRMも今回の実行委員会は,多大な苦労をされたと存じます.シドニー開催からパリへの開催変更,そして最終的にはWeb開催へ.当初の見込みとは大きくかけ離れてしまいましたが,とにかくin personでの学会開催をなんとか実現するための,パリへの変更だったと関係者からは伺っています.Web開催での利点・欠点は皆様もいろいろと感じていらっしゃることがあると存じます.私個人といたしましては,web開催の学会に積極的に参加していくのは,現時点ではなかなか難しいというのが一番強く感じた感想でした.その理由として,第1に学会期間中の日常業務と学会参加の両立をするための時間確保が困難であることがあります.出張してしまえば臨床業務から離れざるを得ないために学会に集中できますが,自宅や大学でweb視聴を続ける以上,日常業務が舞い込んできますし,夜間に視聴時間を確保した途端,緊急アンギオで呼ばれてしまったこともありました.第2に,時差の問題があります.時差のために夜間に行われるlive sessionには,翌日の業務に支障が出てしまうためになかなか参加できず,発表をじっくり見る機会も確保できませんでした.現地に行けば強制的に現地時間にリセットして活動するので問題ないですが,web参加のために時差をリセットするのは,日常業務との兼ね合いもあり困難でした.これが,シドニー会場のままであったら,日本人にはとてもいい時間設定だったのではないかと思いもしましたが,結局それでも日中は業務のため参加ができないというジレンマに陥っていたかもしれません.第3に,pre-recording とlive discussionの難しさがあります.今回,初めて土日のeducational sessionで講演(Session Title: Cardiovascular MRI: The Vasculature, Talk Title Supra-Aortic Vessels: Clinical Application & Use) する機会を頂きました(シドニーで話せたら,どんなに良かったことか!).通常の発表では,参加者の方々の反応を見ながら適宜ジェスチャーを加えて話すので,多少つまずいたり,英語の言い方を間違えたりしても,場の雰囲気を勝手に味方にしていくことができます.しかし,一人録画となると,休日の誰もいない(雑音の出ない)医局から,まるで宇宙に向かって話しているようで,とても話しにくくなってしまいます(これは日本語の発表でも同様です).さらに録音を確認すると,簡単な英文法の間違いや言葉のつまずきをたくさんしていることがわかり,何度も録音し直すものの,結局途切れ途切れの動画になってしまい,多大な録画時間,準備時間を要してしまいました.また,深夜帯に行われたlive discussionでは,やはりそもそもの音質の問題や顔が見えないことでの聞きにくさ,自分の発言がネットの向こう側に十分な音質で届いているだろうか,自分の発音は理解してもらえているだろうかといった不安感があり,非常に緊張しました.チャットを使える良さはあるのですが,見慣れない単語を見つけて理解するのに時間を要したり,限られた時間でチャットとトークを並行して理解していく必要があるので,より頭が混乱したりと苦労の面の方が大きいと思いました.また,複数の演者の質問がチャットに来るので,対応するのが大変でした.視聴者側からは,チャットの良さを十分に堪能できたのだろうとは思っていますが,座長,パネリストの苦労は,in personの時より大きいだろうと感じました (non-native speakerのハンディキャップも大きいです).しかしながら,今後のあらゆる学会は,web開催あるいは少なくともhybrid形式の開催が主体になっていく可能性が十分にあります.Web会議のスキルを身につけていくのは,ウィズコロナの時代で必須事項であるとの思いも強くしました.
上記の理由のため,網羅的な紹介はできませんが,心血管領域のトピックについていくつか演題を紹介いたします.
0784: Cardiac MR fingerprintingの臨床研究.Motion artifactを軽減するために撮像ウィンドウを150 msまで短縮し,cMRFで,T1, T2 mapを一回の息止め(15心拍)で取得した.通常のmapping撮像法と比較してnative T1, T2は良好に相関していた.
0785: Golden-angle RAdial Sparse Parallel (GRASP)を用いた自由呼吸下,高時間分解能の遅延造影MRI.IRパルスとramp-upパルスの直後から,bSSFP readoutを,golden-angle(32.038º)の角度を変えながら224 rays分取得し,16 time framesに分割して再構成する.最適なコントラストを表現できている time frameの画像を再構成後に選択することが出来るため,TI scoutが不要になる.
0787: 深層学習を用いたデノイズを活用することで,臨床画像として心臓のテンソルMRIを取得する.従来の加算回数8回の30分の撮像時間で得られたテンソル画像と同程度のものが,4回加算(半分の撮像時間)でも得られるようになった.
心臓MRIの強みの一つとして,心筋組織性状の評価が可能であることがあげられます,一方で,心臓MRIに要するスキャン時間は,他の検査を圧迫する要因にもなるため,短時間撮像や,自由呼吸下での撮像は,今後望まれる手法と考えられます.テンソルMRIは,臨床的にも実現可能な撮像時間内に取得出来るようになれば,今後の臨床的意義の探索に向けて活用されていることが期待されます.
0776: マルチベンダーの大血管4D flow MRIから,AIベースの全自動セグメンテーションを行った.マニュアルでのセグメンテーションの結果と比較して,良好な一致が得られた.
0777: アデノシン負荷潅流画像(6スライス,10mm厚)に対して,深層学習とmotion correctionを用いた再構成を行い,自動的に定量測定する.
いずれも,機械学習の応用に関するセッションでの発表でした.心臓MRIの画像解析には,現状ではマニュアル操作が非常に大きく,臨床に必要な時間を費やしてしまう傾向があります.これらの自動化ツールは,今後の放射線科業務改善にもつながりますし,恣意的にもならないと思われますので,データの頑健性にもつながるかもしれません.
写真は,当院の森技師が深夜の0:50開始のlive discussionに参加しているところです.彼も日常業務との掛け持ちで大変な中,頑張って発表してくれました.私も直前に緊急アンギオが終了して,一緒に参加することが出来ました.最後に,平時になかなか戻れない中,web学会を皆様が少しでも楽しみ,ご活用いただけるようになることを祈っております.

『新型コロナウイルス下でのISMRM2020開催』
京都大学大学院 医学研究科 脳機能総合研究センター 岡田知久先生

今年のISMRM大会は、新型コロナウイルス感染に大きく翻弄されました。開催は当初4月予定のシドニーから8月のパリに移動、その後さらに5月と開催にかなり近づいた時点で再度Web開催へと変更されました。最初からWeb開催との声もあったようですが、直前まで現地開催にこだわった背景には、ISMRMの基本的な考え方があると思います。それは、MRの技術開発を診療に活かすために、臨床医と基礎研究者をはじめとする多様なバックグラウンドを持つ研究者同士が対面で直接議論し繋がることをとても重視している点です。これはWeb開催になっても同じで、Entry pageの最初に「Session」などと並んで「Networking」と明示されています。昨年のラグビー・ワールドカップでのOne TeamならぬOne Community for Clinicians and Scientistsという標語はずっと以前より使われており、ISMRMが目指す方向が明示されています。初日の夕方に開催されるNewbie (初回参加者) receptionでは、Web上に例年どおりテーマ別の集合場所が設定され、各分野のエキスパートと自由に話ができる環境が提供されました。今後、ソーシャル・ソフトウエアがより便利になれば、最近増加しているWebinarなども含めてnetworkingの機会がさらに大きく増えると期待しています。

早々とWeb開催に直接移行する国際会議が多い中で、3か月前までじっくりと状況を見極めることができたのは、運営レベルが高く交渉力の強いCentral Officeがあるおかげです。Executive DirectorであるRoberta Kravitz女史が2017年にProfessional Convention Management Association (PCMA) Global Meetings Executive of the Year Awardを受賞したことからもわかるように、ISMRMは財務体質も含めてとても健全に運営されている組織です。今回のWeb開催では参加費は250ドルと大きく下がりましたが、例年は学会正会員でも1,000ドル以上とかなり高額です。その背景には、研究費で参加できる正会員に若い研究者の参加費を一部負担してもらう、という発想があるようです。実際、研修医や大学院生はTrainee stipend awardに応募できます。欧米諸国だけでなく、中国や韓国からも多くの申請があります。これはAwardなので、初期段階での国際的なAward受賞歴を記載する上でも好都合であり、お財布にも経歴にも優しいAwardです。日本人はとかく遠慮しがちですが、何度でも積極的に応募しましょう。「抄録を出すときには、忘れずに。」 指導医の先生方からも応募するように念を押してください。

また、今年は京都大学 画像診断学・核医学講座の富樫かおり前教授がGold Medalを受賞、名古屋大学大学院医学系研究科 の長縄慎二教授がSenior Fellowに選出されたのは、とても喜ばしいことでした。今回、性別は無関係ですが、一般にISMRMは世界のアカデミアを中心としたかなりリベラルな組織です。今年水曜日夜のSecret Sessionでは、MRI: Making Research Inclusiveと題して、Oxford大学のKarla Miller先生が新型コロナウイルスを吹き飛ばすような、強烈なジョーク?を飛ばしていました。”If you are a Gold Medalist, you’re 1.4x more likely to be named Robert or Peter than to be female.” とか、”Distinguished Service Medalists are five times more likely to work in a town named Cambridge than in a non-English speaking country.”とか。性別や地域に関係なく、ISMRMに積極的に参加すれば、門は開かれます。

ISMRMは毎年、魅力的な場所で開催されます。来年は、風光明媚で風が心地よい5月に、カナダ・バンクーバーで開催の予定です。来年こそは、virtualではなく現地での開催を期待しましょう!

ISMRM2017オープニングセレモニー

ISMRM2021バンクーバー会場(予定)周囲の風景

『ISMRM Virtual Meeting』
北海道大学大学院 医学研究院 画像診断学教室 工藤與亮先生

ISMRMは2006年のシアトルが最初の参加で、ちょうど米国留学中であった。その後、2007年のベルリン、2009年のホノルル、2010年のストックホルム、2011年のモントリオール、2012年のメルボルン、2013年のソルトレークシティー(尿管結石により直前にキャンセル)、2014年のミラノ、2015年のトロント、2016年のシンガポール、2017年のホノルル、2019年のモントリオールと参加してきたが、最近は学会期間中に〆切のある仕事が舞い込んでくることが多く、なかなかゆっくりと参加できなかった。今年はシドニーでの開催ということで時差もなく、じっくりと参加できると考えていたが、COVID-19の感染拡大によりVirtual Conferenceとなり、リアルタイムのディスカッションが日本時間だと夜になったため、もっぱらオンデマンドでの視聴となった。また、Virtual Conferenceだと仕事やプライベートの合間の参加になるため、まとまった時間がとりにくく、時差と闘いながらのオンサイトでの参加の方が学会に集中できる気がした。とは言っても、ISMRMは非常にトピックが広く、オンサイトであってもWeb開催であっても、いずれにしても全部を見ることは不可能に近い。
今年のISMRMでの日本人としての大きなトピックは、名古屋大学の長縄慎二先生がSenior Fellows、京都大学の富樫かおり先生がGold Medalを獲得したことと思われる。日本人としてとても誇らしく感じ、特に長縄先生は専門領域が同じニューロであり、とても勇気づけられた。同じく名古屋大学の田岡先生が参加されていた「CSF Flow & Glymphatic Imaging」のQ&Aセッションで田岡先生が「Peri-Perivascular spaceが見たい」と仰っていたのが印象的であった。これは我が意を得たりで、脳内の水動態を考えるにあたり、マクロなCSFのbulk flowや血流、ミクロな脳実質内の拡散をつなぐ、Perivascular space周囲の水の動きを解明することにより、様々な疾患の病態の理解につながる可能性がある。最近のNeuroinflammationのトピックではBlood Brain Barrier(BBB)のleakageの発表も増えてきており、認知症や頭部外傷での血管透過性の亢進を考えるにあたり、BBBをミクロレベルで考える必要があり、それをイメージングとしてどう見ていくかも重要な課題であると感じた。MRIはボクセル内の微小環境を画像化できるたぐいまれなモダリティであり、MicroscopicとMacroscopicの間の概念であるMesoscopicな分子の挙動を探索していくのが期待される。
人工知能(AI)はどうであったか。ISMRMという学会の特性もあるが、Deep Learningを中心としたAI技術は画像再構成やノイズ除去、セグメンテーションなどでは非常に有力なツールとして確立されているのに対して、MSとNMOの鑑別、脳腫瘍の組織系の鑑別、病態や予後の予測などの臨床応用ではまだまだ最適化が必要な印象を受けた。
来年のISMRMがどういう形式になるかは今後の状況次第かもしれないが、多くの学会がWeb開催となり、発表する機会、発表を見る機会が担保されているのに対し、In personでのディスカッション、情報交換、雑談、旧交を温めるなど、やはりオンサイトでの開催には多くのメリットがある。特にISMRMは世界中から基礎系・臨床系の様々な研究者が集まる学会であり、是非、オンサイトでの開催を期待したい。