『GEST2019印象記』
神戸大学医学部附属病院放射線診断・IVR科 山口雅人先生

2019年5月9日~12日、ニューヨークにてGlobal Embolization Oncology Symposium and Technologies (GEST2019)が開催されました。今回、私はfacultyとして招待されたため、折角の機会なので神戸大学の後輩を連れて参加させて頂きました。日本からは私以外に、荒井保明先生・曽根美雪先生(国立がん研究センター)、宮山士朗先生(福井県済生会病院)、清末一路先生(大分大学)、田中利洋先生(奈良医大)、奥野祐次先生(オクノクリニック)がfacultyとして参加されており、みなさまいずれ劣らぬ素晴らしい講演を披露されていました。特に荒井先生はGESTの中心メンバーとして変わらず元気に存在感を示されていましたし、奥野先生は骨軟部セッションで重要な役割を果たしておられ、この領域での世界的第一人者として認知されているのは言うまでもありませんでした。

以前の他先生方からの報告にもある通り、GESTでは悪性腫瘍に限らずあらゆる領域の塞栓術がプログラムに組み込まれています。内容も疾患概念・適応、塞栓物質の選択や手技、エビデンスや他療法との比較など幅広い観点から構成されており、その完成度に感心させられます。初心者からエキスパートまで塞栓手技に関わる者であれば全て、4日間のプログラムを楽しめることができるでしょう。

幾つかの関心事を挙げたいと思います。前立腺肥大に対するPAEは手技や成績が確立されてきて、良好な臨床効果を得るためや合併症を起こさないための塞栓方法の最適化が議論の中心となっていました。術前・術中の画像診断で塞栓効果や合併症のリスクを如何に予防するかといった放射線科医らしいアプローチが議論となっているのが印象的でした。またビーズの逆流による誤塞栓のリスクについては、流体力学を利用する新しいコンセプトのマイクロカテーテルが注目を集めていましたし、マイクロカテーテルで使用できるプラグなど、国内未承認のデバイスや塞栓物質を実際にハンズオンで触れる機会もありました。リンパ管のセッションでは、よく話を聞いていたItkin先生らが、リンパ管イメージング・塞栓術の研究を熱心に講演されていました。今年6月の穿刺ドレナージ研究会(大阪)ではItkin先生を招聘してのリンパ管のプログラムも予定されていますので、興味ある方は是非参加されたらと思います。

私はGESTには、2010年第4回(サンフランシスコ)にIVR学会国際交流促進制度の補助を得て初めて参加する機会を頂き、学会誌に印象記を投稿しました(日本IVR会誌25,2010.373)。記憶に刻まれている学会で、自分もいつか声がかかるように頑張ろうと思わせられました。その後2016年に東京で開催されたGEST Asiaで、初めて招待講演を経験させてもらいました。複数の講演をこなすのは大変でしたが、達成感が強く、自分の中で何か感覚的に突き抜けるようなものがあり、随分と自信になりました。このような経緯からGESTへの思い入れもありましたし、今回、準備はもちろんしっかりした上で、肝も据わった感じで臨むことはできたように思います。

昔、クイズの勝ち抜きをしながらアメリカ大陸を横断し決勝の地ニューヨークを目指す「アメリカ横断ウルトラクイズ」という壮大な番組があり、子供心に興奮してテレビの前にかじりついて見ていたものです。以来、ニューヨークは憧れの地となり、これまでも幾度か人生の節目で訪れる機会がありました。少しずつ積み重ねてきた実績や信頼関係を自信にして、今、最大限できることを発揮する、そんな仕事の原点を思い起こさせてくれるexcitingな街、それが自分にとっての「アナザスカイ・ニューヨーク」です。GESTは来年もこの季節の良い5月にニューヨークで開催されます。会場もマンハッタンのMidtown Westにあるシェラトンホテルで、セントラルパークやタイムズスクエアにも近く、滞在を存分に楽しめます。毎年5月にニューヨークでのGESTが恒例になればいいなと期待しつつ、是非、若い先生達も積極的に参加してもらえればと思います。

 

Plenary Session会場 かっこいい背景でした

中心メンバーの一人 Dr. Sapovalとfaculty dinnerにて

2020年IVR総会(神戸)に招聘予定です。