『Congress Topics (CIRSE 2017)』 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 放射線医学 平木隆夫先生

 今年のCIRSEはコペンハーゲンで開催された。コペンハーゲンには大会前日の夜に着き、到着するとすぐに就寝した。翌朝快適に目覚め、初日の朝一番のセッションから早速出席した。というのも同僚である藤原寛康先生が「New tools for guiding and monitoring liver ablation」というセッションの座長を務めたからである(図1)。このセッションでは、透視上で視認可能なradiopaque beadsや超音波のelastographyをablationのmonitoringに使おうとする試み、日本でもおなじみのCone-beam CTを使用した手技の紹介があった。なかでも特筆すべきは3D navigation toolを使用したablationの紹介である。右葉全体を占めるような巨大なHCCや肝門部胆管も巻き込むような大きなcentral HCCを、10ヶ所以上の穿刺を行い、見事に治療していたのには度肝を抜かれた。発表者によるとそのtoolを使用すれば、もはや腫瘍の大きさはablationの制限にはならないとのことであった。IVRのnavigation&simulation toolは近年のトレンドであるが、今後ますます伸びていく領域だと実感した。

 初日の14:30からはメインホールにてOpening and award ceremonyが行われた。ヨーロッパの学会らしいおしゃれで華やかなopeningの後、award ceremonyが行われた。言わずと知れた日本IVR学会前理事長であり、国立がん研究センター中央病院前院長である荒井保明先生がDistinguished fellowとして表彰された(図2)。表彰に先立って友人であるde Baere 先生から紹介を受け、さすがの荒井先生も感無量の表情であった。Ceremonyの最後には2017年まで14年間にわたってCVIRのEditor-in-Chiefを務められたVorwerk先生にGold medalが贈られた。Major journalのEditor-in-Chiefを14年間も務めることがどれほど大変であるのかは私には想像もできないほどのものであり、受賞も当然であろう。Vorwerk先生は現在ドイツ放射線学会の会長もされており、受賞の挨拶でDiagnostic radiologyの重要性について力説されていたのが、大変印象的であった。またCeremonyでは、現在CIRSEのPresidentであるギリシャのBrountzos先生が中心となっていた。彼とは15年前に米国オレゴン州のDotter Interventional Instituteで共に働いた仲であり、CIRSEの中心として活躍している彼を見て、大変嬉しかった。

 2日目の10時からは「Ablative therapies for renal cancer」というセッションの座長を務めた。300名ほど入る会場はほぼ満員であり、ヨーロッパでも腎がんのablationの関心の高さがうかがえた。まずUrologistの先生からPartial nephrectomyについて講演があった。その後2名のIVRistによりablationの講演があり、最後に腎がんのガイドラインの紹介があった。早期腎がんの治療において、ablationは長期の生存データが乏しいため、ガイドライン上での役割は手術の次の手段となっている。しかし局所効果の高さ、腎機能への影響の少なさ、良好な中期生存データをみると、いつの日か手術と並び立つ、もしくは症例によっては手術に置き換わる治療になると確信した。

 デンマークは言わずと知れた高福祉高負担国家である。国民にとっては、物価が高くても高福祉であれば良いのかもしれないが、観光客にとって消費税25%がもたらす物価高はとても酷なものであった。何もかもが高く、ちょっとレストランでランチをしただけで簡単に3000〜4000円くらいの支払いになるのには閉口した。

 コペンハーゲンの街は比較的フラットであり、自転車に乗っている人が多かった。社会も自転車利用をアシストしており、道路には自転車専用レーンがあり、駐輪も比較的自由にすることができる。そこで3 日目の午前中はレンタサイクルで街中を散策した。レンタサイクルは、Webで登録をすれば簡単に利用でき、支払いはカード決算である。自転車は電動アシストであるため、少々の坂道ならすいすい進むことができる。更にタブレットがハンドルの間についており、そこに表示されたmapで自分のいる場所をいつも確認でき、もちろんナビもしてくれるスグレモノであった。レンタサイクルのお陰で疲れることなく、見たい場所を短時間で回ることができた。しかし、カードの請求額が2700円であったのにはこれまた閉口した。

 

図1                    図2

『Topics in CIRSE 2017』 帝京大学医学部附属病院 放射線科 近藤浩史先生

 コペンハーゲンにて開催されたCIRSE 2017に参加した。仕事の都合で初日の夜にコペンハーゲン入りをしたため、Opening and Awards Ceremonyでの荒井先生の話が聞けなかったのが残念である 。

 Radial、Brachial、Femoral accessに関して各演者が講演した。欧米では肥満患者が多いこともあり件数は年々増加しているとのことであった。患者の腕を伸ばし管球から離れて手技を行うこと、防護板を適切に使用することでFemoral accessからの手技に比して術者被ばくが1/3に低減できるということである。水晶体被ばくの線量限度が下がることもありIVR医にとっては重要な情報であった。合併症に関して循環器内科からの論文が紹介されていた。脳梗塞のリスクはFemoral accessの12倍である。昨年から導入されたE-Voting(スマホのアプリで投票するシステム)で、「患者にこのリスクをICするか?」との問いには53%がICしないと解答していた。日本では考えがたい数字と感じられた。日本の放射線科でRadial accessを行っている施設は少ないと思うが、時々行う手技であり勉強になった。

 ゲルベのシンポジウムはLipiodolに関する講演であった。cTACEの有効性を説明するために日本発の論文が多く引用され紹介されていた。内容的には日本のIVR医であれば周知の事ばかりであったが、会場内でCBCTを使っているのは20%程度とまだまだであった。最後にItokin先生からリンパ管の講演があった。基本から最新の知見まで系統立って解説されていた。スライドに出ているグラフィックスがブラッシュアップされておりさらに美しくなっていた。

 フィルムインタープリテーションでは、赤、青、黄の旗が配られ、全員が起立して、正解者が残るという参加型セッションで楽しかった。第一問が典型的なSAMの症例であり、これはいける!と思ったら人魚姫の像は誰が作成したか?という人数減らし問題で撃沈した。ガイドブックにはちゃんと記載があり、予習しておけば良かった。

 緊急IVRでは脾損傷、骨盤骨折のセッションに参加した。脾損傷に関しては、proximal embolization、distal embolizationの講演があった。講演の後に、case review形式で上記のE-Votingで会場の意見を聞いていた。日本ではdistal embolizationが主流と思われるが、欧米ではAASTのGrade4以上の損傷で血管外漏出像が無い時にproximal embolizationを行っているようである。帝京大学でも救急医から「何故proximal embolizationを行わないのか?」としばしば質問される。論文上(統計学上)は重篤な合併症は差がなく、軽度の合併症(梗塞)はdistal embolizationの方が有意に多い(当たり前である)と報告されているためである。演者らは血管外漏出像が明らかな時はdistal embolizationを行うと言っていたが、提示された症例にはproximal embolizationの後に再出血してトラブルを起こしている症例もあった。distal embolizationの有用性を早く示さないといけないと感じた。

 CardiatisのブースでFlow diverterが展示してあった。本邦では脳動脈瘤用しか薬事承認されていないが、今回、大動脈瘤用のFlow diverter がCEマークを取得したとのことであった。今後の動向に注目したいデバイスである。

 ゲルベのブースではemulsion作製用にキットが展示されていた。リピオドールを吸引するときの異物混入を防ぐためのフィルターがあり、20mlシリンジ2本、1mlと3mlのシリンジが1本、4方活栓が梱包されている。括栓はリピオドール耐性の材質であるためリピオドールによって破損することが無いということである。日本への導入は未定だそうである。

このメンバーでアパートを借りて合宿しました;左から3番目が筆者

 

 本記事中には、本邦で未承認の薬剤・治療法、本邦で承認された薬剤の効能・効果、用法・用量以外の情報が含まれております。詳しくは各薬剤の添付文書をご参照ください。また本剤の投与に際しては、引き続き適切に対象患者、用法・用量を選択いただきますようお願い致します。